2025/07/01 19:59

皆さまこんにちは!

kulehaのともみです。

今日は、kulehaで取り扱う「Paco」という革の特徴についてです。

ただでさえ情報の少ない革なので、2年ほど使用してわかったことなど、少し詳しくまとめていきたいと思います。

まず、Pacoという革は、2023年のイタリアで開催された、世界最大級の革の展示会・LINEAPELLE(リネアペレ)に行った際、その薄さとしなやかさ、革らしい風合いに一目ぼれして仕入れることになった革です。





kulehaで定番で使用しているトスカーノバフと同じ、イタリアのタンナー・Conceria 800社(オットチェント社)で作られています。



【社長のルイージさんと、担当のマリアリタさん。旧門仲店舗にて】


【塩漬けにされた皮。皮から革へ生まれ変わる。】


【ゆっくりと回転するドラムの中で、加脂したり、染色したりします。】


【1.2か月かけてゆっくりと乾燥させているところ】


Pacoは現在日本での取り扱いはなく、kulehaで注文してから生産=出来立てを届けてもらっています。
そんなPacoの最大の特徴は、革らしい風合いと、もっちりとした手触り。

革の厚さも1.3~1.4mmほどと薄く、そして、とてもしなやかです。





【柔らかさ、しなやかさ、伝わりますか?】


そして同じくらい魅力的な特徴は、エイジングがとても速いこと。

オイルがたっぷりと含まれているので、エイジングやアタリ等、1か月ほど使用しただけでも、色やツヤなど、変化を実感していただけるかと思います。



【新品のCamel】


【使用2年半のFreely shoulder/Camel】


【もともとあった革のシミや使用して出たアタリ】




このような魅力的な特徴がある反面、やはりお好みが分かれるであろう特徴もあります。


1つめは、水濡れでシミができること。
(先ほどご紹介したFreely shoulderのお写真も、よく見ると雨染みの跡があります。)

もはや「革製品」であれば当然のような特徴ではあるのですが、トスカーノバフなど、最近よく目にするイタリアンレザーは、あたりまえのように水染みにならないんです。笑

なので、シミになることが珍しい、というような不思議な感覚になりがちなのですが、こちらのPacoは、従来の革製品のイメージ通り、シミになりやすいです。

ですが、Pacoの水濡れでのシミは、防水スプレーで予防することができますので、シミが気になるという方は、定期的に防水スプレーでのメンテナンスをしていただくのがおすすめです。
(防水スプレー自体がシミになることもありますので、必ず底面など、目立たない場所からお試しください。)


そして2つめは、アタリが出やすいこと。
アタリとは、特定の場所に力が加わることで、その部分の革の繊維がつぶれてツヤがでたり、跡が残ったりする現象のことです。
Pacoは革が薄い上に、オイルがたっぷり含まれているので、トスカーノバフなどに比べると、特にアタリが目立つ傾向にあります。


【使用1年。細かいアタリや傷のようす】


【使用2か月。リップや櫛などを入れて使用した例。ところどころにアタリが出ています。】


【使用2か月。LANケーブルなどのお仕事道具を入れて使用。】


エイジングが進むまでは少し目立つかもしれませんが、他の部分も色が濃くなり、つやが増してくると、最初に載せたFreely shoulder同様、あまり気にならなくなります。

このように、一見気になるアタリですが、私はこの特徴も、革らしくていいなと前向きに捉えています。
使い手や入れるものによって全く違う表情になるところ、オンリーワンのエイジングが楽しめるところ、そんなところが大好きです。

ネット上にもPacoの情報はなく、わたし自身もこの2年たくさん触って、使用してPacoという革について理解を深めてきました。
それでも、まだ見ぬ側面もきっとあるのだと思います。

シミやアタリがでやすいという点では、お好みは分かれるかと思いますが、ある意味、革らしい革のPacoです。

もしPacoの作品をご検討いただいている方がいらっしゃいましたら、これらの特徴を参考にしていただきご理解いただいたうえで、お手に取っていただけますと幸いです。

一般的にみると少しクセのある革のようですが(私はそう思わなかった!笑)
是非あなただけのエイジングをお楽しみください!

少しでも多くの方に、Pacoの魅力が伝わりますように^^